カテゴリー別アーカイブ: 活動報告

コロカムイの会の「事業報告会、忘年会」

コロカムイの会の「事業報告会、忘年会」が、地吹雪猛る北海道根釧台地・標茶町の酪農センターで12月10日行われました。23年間で最多の63人が参加、酒宴の会場に入りきれない程の盛況で、早稲田大学から11人の学生と吉川成美、礒貝日月講師、原塾長が参加しました。 10日午前は、森の巨木に20メートルの梯子を架け、巣箱の掃除と間もなくの営巣に備えて巣箱に木くずを敷き詰める作業が会員と学生たちによって行われました。 大橋養魚場・水産試験場を流れるタウシュベツ川のバイカモは、秋の台風によるウライ(捕獲棚)の崩壊により鮭が殺到、産卵のための川底掘さくで全滅したとのことで、目下残った根つき草を10本づつ束ね、移植する作業が行われています。 大橋事務局長の鮭定置網は例年の約30%の漁獲量で、代わって暖流系のブリが大漁に。温暖化の悪影響がひたひたと迫っています。

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。

シードルパーティ

高畠は根雪が間近く、遠景の蔵王、飯豊、朝日、吾妻は既に純白の彩りです。 2016年度事業報告会、交流会が11月26日、高畠民俗資料館で開催されました。 佐藤治一さん原作、前教育長、ソバ打ち名人佐藤征治さんが腕を振るった青鬼農園ソバとリンゴシードルが待ち受けた交流会は、共生塾の収穫祭となりました。 シードルは早稲田環境塾の吉川成美さんの努力で実現したトヨタ財団2016年度国内助成プログラム「心を耕す」、」たかはた共生塾プロジェクト―原発風評被害の克服と提携による「未来の担い手創造」の具体的な成果の一つです。他に高畠高校での連続講座ふる里発見ビデオ制作、発表会、統合中学での学校農園の開設など独自性と創造性に富んだ試みは 多くの方々、とりわけ資金を支援していただいたトヨタ財団から高い評価を得ています。 たかはた、東京共生塾の皆さんの不撓不屈の意志と豊かな感性は明日への一筋の希望の道を指し示しています。 12月19日(月)、恵比須のカフェ 「クレープリール・」コントワール」を借り切り、東京版青鬼ソバのガレットと高畠シードルの大パーティを催します。皆さんの参加を歓迎します。 「シードルについて」 本来はイングリット・バーグマン、ハンフリー・ボガード主演映画の名シーンに登場するカルバドス(仏ブルターニュ―地方の荒酒)の製造を目指しています。いまのところシードル(アルコール度8%)にとどめました。比類ない最高品質(ほとんどワインのテイスト)のシードルづくりに成功しました。 cidreとはスペルの如く「サイダー」のフランス語版です。

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。

青鬼サロンの動き

2014年4月17日 第1回青鬼サロン 毎日新聞東京本社のMOTTAINAI STATIONに都市と農村の新しい提携を目指す「たかはた共生プロジェクト・青鬼サロン」が発足しました。http://mainichimediacafe.jp/news/77/ https://www.facebook.com/aoonisalon 3・11事件を契機に食と農、都市と農村の持続可能な関係を創ることを目的に、早稲田大学早稲田環境学研究所と毎日新聞社が協働する斬新な試みです。 重要なことは、サロン発の情報がリアルタイムで新聞社のネットから発信されることです。 農産物に限らずツーリズム、教育、ライフスタイルの変革などの可能性をとらえていきたいと願っています。 第1回サロンには、早朝5時高畠を車で出発した共生塾顧問の星寛治さん、塾長の中川信二さんら8人の農民が参加し、米、リンゴ、ワイン、みそ、シイタケなど有機無農薬農法で栽培、加工された品々を午前10時から展示、青鬼クラブの東京側会員が売り手となり販売、午後早くに完売しました。 並行してサロンでは立教大経済学部の吉川ゼミ(2012年当時)の学生ら、満員の聴衆が集い、2時から5時まで講演と討論が行われました。星さんが「今、都市と農村をつなぐ”提携“とは何か」「高畠の原風景、青鬼はどこへ行ったのか」(司会吉川成美立教大講師、早稲田環境学研究所次席研究員)のテーマで講演、終了後のビールパーティも満席の賑わいでした。 5月22日 第2回青鬼サロン 講演 「星寛治の心をたどる たぎる詩魂の軌跡―宮沢賢治と真壁仁」。星さんは五篇の詩を朗読しました。 宮沢賢治「林と思想」「松の針」、真壁仁「峠」「原風景」。自作の詩「吉里吉里人に捧げる みちのくのシルクロード」では「大宛の汗血馬」に託して、「北上の草原を風のように駆け、征夷の大軍を迎え打つ 土着の民の底力」を讃えました。 2014年6月19日 第3回青鬼サロン 課題は「まほろばの里高畠への旅」―イザベラ・バードの旅路と原風景。 西南戦争の翌年、1878年(明治11年)7月12日、英国の高名な女性旅行家イザベラ・バード(当時46才)が険しいい峠道を馬で乗り越え、新潟県から山形県小国町にたどりつきました。バードは高畠が位置する米沢平野の自然と人に営みの「気高い美しさ」に心を奪われ、欧州の人々が憧れる楽園エデンの園、アルカディアと絶賛しました。今から136年の昔、近代化以前のこの地の夏の日に、バードは何を見たのでしょうか。 7年連続日本の原風景を訪ね、毎日新聞に1頁の連載「新日本の風景」(2014年日本新聞協会広告賞受賞)をコンビで取材している原剛塾長と写真家の佐藤充男塾生が、JR東日本の薬師晃広報部長を交え、現代の旅の意義を語り合いました。 2014年7月17日 第4回青鬼サロン 講師は社会学の第一人者、栗原彬立教大学名誉教授。高畠町和田の見渡す限り田んぼが連なる集落のはずれに、栗原教授が寄贈した蔵書6万冊を所蔵する「たかはた文庫」があります。閲覧室コーナーをゆっくり備えた開架式の木造図書館です。 「読書とは、生きづらい状況の中で、大切な他者と共に、生き続けるための宇宙を育てること」。(そのことによって、状況を組み替えることもあれば、身振りを養うことも)。 「読書とは、世界と自分を変える身体行動」である。教授はたかはた文庫に寄せる想いを語りました。 2014年8月28日 第5回青鬼サロン 「心を深く、温かく耕す 広介童話の現在」 がテーマ。講師は浜田広介記念館の鈴木征治理事長と日本児童文芸家協会顧問の岡信子さん。 広介は奥羽山脈の懐深く、雄大、繊細な山里風景と草木塔に代表される”祈りの里“ に培われ数々の名作を著します。自身の挫折と再生の心の遍路を映した数々の童話は、愛と善意の尊さを訴えてやみません。 鈴木理事長は講演「童話一筋に生きた浜田広介」で広介の生涯を克明にたどりました。関信子先生は[広介童話の優しさ、その真髄」をテーマに、広介を現代に読み解きました。 奥羽山脈の東側は福島です。今も150人余が山脈を越えて高畠に避難しています。お二人の話は心に染み入りました。 2014年9月18日 第6回青鬼サロン 「地域との『提携』を考える」ーまほろば農学校・たかはた共生塾の20年が課題です。 ・「共生塾とまほろばの里学校の20年」星寛治たかはた共生塾共同代表 ・「有機農業の広がりと地域活動―現状と課題」 たかはた共生塾塾長中川信行 ・地域との共生事例紹介 フランスのオーガニック食環境(AMAP)石井幸子(青鬼クラブ会員) ・イギリスで垣間見たCSAとドイツでの動き 吉川直子(青鬼クラブ会員) たかはた共生塾の理想は2015年現在どこまで実現されているのでしょうか。鈴木久蔵初代会長は「たかはた共生塾は新しい地域づくりと、人間の生き方を探る場として平成2年に発足した塾である。都市と農村との提携、自然と共に生きる暮らしのあり方を地域の中に広げるとともに、新たな生活の原理を都市に送り出すことを一つの使命と考えて活動している。今こそ都会の人々に新鮮な野菜ばかりでなく、心の糧こそ贈らねばならない時であろう」と語っています。 青鬼サロンは鈴木氏の志を多とし、継承していきます。 青鬼サロン 青鬼クラブの由来 高畠出身の童話作家、浜田広介の名作「泣いた赤鬼」の友達・青鬼の心に思いを馳せる「この指とまれ」の集いです。 人間が好きで、村里に近寄りたいのですが、その一見乱暴者風情が恐れられ、里の人々から相手にしてもらえない赤鬼。友達・青鬼のアイディアで、人里で「乱暴する青鬼。とっちめる赤鬼」の芝居に成功、赤鬼は人々に迎え入れられます。 しかし、赤鬼が喜び訪ねた青鬼の戸口には、芝居が露呈することに配慮した、もう「オ目ニカカレマセン」の書置きが。 「ボクハ コレカラ タビニ デル コトニ シマシタ。ナガイナガイ タビニ ナルカモシレマセン。ケレドモ ボクハ イツデモ キミヲ ワスレマスマイ。ドコカデ マタ モ アウ 日ガ アルカモ シレマセン。サヨウナラ、キミ、カラダヲ ダイジニシテ クダサイ。ドコマデモ キミノ トモダチ    アオオニ 赤鬼は芝居を提案した時の青鬼の言葉を思い出し泣きます。 … 続きを読む

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。

「環境日本学」を探求、実践する 早稲田環境学研究所 早稲田環境塾

文化としての環境日本学を 早稲田環境塾は2008年4月、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科のゼミナール「環境と持続可能な発展」(原剛教授担当)を実社会に展開するため創設された。学生、社会人が共に環境思想を学び、実践に移すことを目的としている。8期にわたる塾に延べ500人の塾生と90名を超す各界からの講師が参加している。(「第1-8期塾の内容」参照) 早稲田環境塾の活動目的は多くの事例研究、実践現場での活動成果とキーパーソンの生の証言、つまり一次情報に基づいて文化としての環境日本学の探求、実践を試みることである。研究、論文の対象にとどまらず、解決すべき社会問題として環境問題に取組む。 キーパーソンとは地域の伝統の中に、現在人類が直面している困難な問題を解く鍵を発見し、旧いものを新しい環境に照らし合わせて作り変え、そのことによって多様な発展の経路を切り開こうと努める人物である(市井三郎、1963)。 2011年3月11日、世界を震撼させた東日本大震災、連動した東京電力福島第一原子力発電所のメルトダウン事故は、被災地の自然、人間、文化の環境三要素を壊滅させた。日本社会にとっても座標軸の喪失体験は、旧状への復旧ではなく、近未来への世直しのためのキーパーソンの必要性を痛感させる。 歴史とは現在と過去の対話である。現在の意味は、孤立した現在においてではなく、過去との関係を通じてこそ明らかになる。過去を語りながら、現在から未来へと食い込んでいく、その先端に早稲田環境塾は立脚したいと願っている。人間の行動原理としての人文科学の社会性が問われている。 環境問題の根幹について、欧州は文化に関わるもの、米国では経済の随伴的な現象としてとらえてきた。日本はといえば、そのいずれでもなく、原則を欠いた対処療法に終始している。 反面で、日本は高度経済成長期の産業公害、公共事業による自然破壊、豊かになった生活がもたらす環境汚染、それらが複合した地球規模の環境破壊史の四段階を経る間に、環境・自然破壊と修復、創造の多様な経験、識見を多大な犠牲を払って蓄積してきた。 地球の温暖化が一例であるが、環境破壊の影響は、不安域から破局域をも視野に入れざるを得ない状況に到っている。2015年、夏の豪雨被害による保険金支払額は1000億円を超えた。「今後は気候の変動をふまえた保険料率や商品設定が必要になってくる」(鈴木久仁損保協会会長 9月17日記者会見) 今こそ歴史との対話を試みアジアの風土性と近代化がもたらした明暗の体験とを環境破壊にひきつけて考え、改革を実践する時ではないだろうか。私たちが培ってきた環境保護への知的認識、技術的成果を日本文化の価値体系と統合し、環境の哲学、論理と感性に裏付けられた「環境日本学」を探求、実践しよう。自己確認(アイデンティティ)を明確にしたうえで、国際環境連帯の時代の日本人が、普遍価値の実現へ向かう行動の原理を塾生の皆さんと共に探求したい。。 現場で実践に学ぶ 早稲田環境塾は「環境」を自然、人間、文化の三要素の統合体として認識し、環境と調和した社会発展の原型を地域社会から探求してきた。あごを引いて、暮らしの足元を直視し、現場を踏み、実践に学ぶ。 早稲田環境塾は、その目的を達成するため広く同志の参加を求め、次の手段を用い、それら相互の実践的触媒となることを目指す。 *環境問題に現場で取り組み、問題解決への成果を挙げるために、第9期以降の塾を開設し、市民・企業・自治体・大学との協働の場を設定する。 *環境ジャーナリズムを対象とする擁護、提唱報道(advocacy)、課題設定(agenda setting)及びキャンペーン報道(campaign)への協働 。 *広く学生の参加を求め、アカデミアによる活動の体系化、理論の創造、実証的な環境教育をめざす。 *実践の現場として①有機無農薬、生産者提携の原点、山形県高畠町和田のたかはた共生塾プロジェクト「青鬼農園」2か所約30㌃での耕作体験と農場に隣接する社会学の第一人者栗原彬立教大名誉教授の寄贈図書約6万冊を収蔵する「栗原文庫」、快適なログハウス群を結ぶ新晴耕雨読のライフスタイルの創造。     数式に解はあるか 「3・11と世直し」を課題に、環境への負荷を減らすために2つの数式の意味を考えたい。 I=P×A×T(米の人口学者Paul Earlickの式) I=Environmental  Impact(環境への負荷) A=Affluence(資源消費量) T=Technology(制度改革を含む技術革新) ただし英国の1人の幼児の資源消費量は、バングラディシュの幼児のそれの20人分に相当する。また東京電力福島原子力発電所事故にみる「技術の制御不能」にどう対処するか。)「技術が人間のコントロール下から脱け出して、自らの意思で動き、人間の方がその部品と化してしまう」(木田元「技術の正体」)技術文明の陥穽にどう立ち向うか。 物質的な幸せ=欲望/財 (日銀出身の宮崎銀行元頭取井上信一さんの仏教経済学) 物質的な利己心が肥大化する社会状況で、経済の成長が国策として合唱され続ける限り、脱原発エネルギー社会などはありえないだろう。 京都竜安寺のつくばいに刻まれた「吾唯足るを知る」の域は無理としても、欲望の質を変えることで財の価値を転換し、新たな経済の成長をはかることはできないだろうか。 早稲田環境塾は2008年から2015年に到る間に8期の塾を開催し、約400人の塾生が参加した。同時に社会の各セクターと協働していくつかのプロジェクトを継続して試みている。フィールドワークと協働プロジェクトの現場は、原塾長の取材体験と大学での理論研究に基づき設定された。 原剛塾長は1962年から毎日新聞社会部記者・デスク、編集・論説委員(現在は客員編集委員)として、日本と世界の環境破壊と修復の現場を半世紀にわたり取材している(1993年国連グローバル500環境報道賞受賞)。また1998年から2008年まで早稲田大学教授として大学院アジア太平洋研究科で「環境と持続可能な発展論」と同名のゼミナールを担当した(現在名誉教授)。

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。

第2部第1講「地域共同体の再発見―東日本大震災 大塚久雄 内山節の論を経て―」(千賀裕太郎先生)講義報告

7期塾第2部「今安全・安心な食とは」の第1講座「地域共同体の再発見―東日本大震災、大塚久雄、内山節氏の論を経て―」は人文社会学を視野に収めた農業水利学の観点に立つ東京農工大名誉教授、棚田学会会長の千賀裕太郎さんが7種類の資料を配布、世直しの枠組みを示す熱演となり、またしても120分講義となりました。 同名の書『共同体の基礎理論』によって、共同体を解体すべき近代化への阻害とみた大塚と、無数の関心事で結ばれた小共同体が重層化し、自然と人間、生と死が合体、同居する日本独自の共同体の伝統と、新たな展開に新しい社会創造の可能性を見る内山の論に基づき、モンスーン稲作の日本の農林地域が、水源から河口に到る河川分水、利水の対立と克服の経験を介し、合理性に富む「あいまいさ」の生活作法を編みだした経過が明快に図解され、塾生の関心をそそった。 迫る大地震が太平洋メガロポリスの扇状地に集積した都市の、内陸部への展開を必然とするであろう、との千賀教授の指摘は迫力に富む。高畠合宿に向けて最良の講義となった。

カテゴリー: お知らせ, 活動報告 | コメントは受け付けていません。

第4講「貿易と環境 WTOからTPPへ―国際分業は資源の最適利用か―」(神野直彦先生)講義報告

7期塾第1部の最終講義は、財政学に社会学を加えた「財政社会学」の創造を志す、地方財政審議会会長、神野直彦東大名誉教授が「貿易と環境 WTOからTPPへ―国際貿易は資源の最適利用か―」の課題で講義した。神野名誉教授は環境の破壊構造を明快に説き、アメリカ発新自由主義経済の論理を実証により批判、聴講者をうならせる痛烈なアイロニーとユーモアを交えた講義・質疑は1時間50分に及んだ。 本来ならば三位一体であるはずの国家・市場・共同体から成る社会構造が、現在の市場経済の社会では分離させられ、旧来の社会制度が「歴史の峠」としての危機(crisis)に直面し、崩壊し始めている。自由貿易の前提である土地、労働、資本の流動性のうち、資本の過剰な流動が危機の背景にある。 従ってグローバリゼーションの本質もまた、(1)生産物のボーダレス化としての自由貿易ではなく、(2)生産要素のボーダレスに伴う、(3)資本統制の崩壊にあると指摘。公共財としての環境と天然資源が、あたかも自由財であるかの如く浪費されていく構造が論証された。 この状況を克服する方法として、①地域と市民個人が「知識社会」を指向するボトム・アップにより、新たな社会ルールと規制―グローカリゼーションを指向する。②知識生産を支える知的能力と社会資本の充実による「量」の経済から「質」の経済への置き換え、など幾つかの手段を神野名誉教授は提案した。 教授は米経済学者レスター・サロ―氏が著書で日本に対し、「ルールが変わったという事実に最後に気付くのは前のルールでの勝利者だ」と指摘していることに注意をうながした。ただし、日本ではすでに人的環境や自然環境が破壊され過ぎて、立て直す意欲と方策を見失っている、とも指摘。本来の意味でのソサエティー(社会)で、新しい社会ルールを築いていくパラダイム(思考の枠組み)の変革が歴史的な必然である、と強調した。     塾生の評・知の木々舎代表 横幕玲子さん 神野先生の講義は財政学とは無縁の私にも大変に興味深いものでした。危機の地球にあって、今世界が注目しているのが、オーランド紛争を解決した日本人の知恵であるというお話、クラーク博士の残した言葉(注)は胸をうちます。けれど、有史以前から、文明は自滅することで地球の危機を救ってきたというのはなんというアイロニー。それこそ人類の宿命というべきなので しょうか。 「今」がそのときでないにしても、個体 が増えすぎたあげくひたすら破滅へ向かうレミングの伝説を想像したのは私一人でしょうか。   塾長の評 地球温暖化の政府間会議を思わせます。焼けたトタン屋根の上のネコの集会さながらの。   (注)クラーク博士の言葉 Boys,be ambitious, not for money, not for selfish accomplishment, not for that evanescent thing which men call fame. 金のためではなく、利己的な功績のためではなく、人が名声と呼ぶあのはかないもののためでもなく、少年よ大志を抱け。(神野名誉教授の講義テキストから)   ※神野教授は(not以下)を除くと日本社会の実情が見えると指摘、教室は爆笑につぐ爆笑でした。   … 続きを読む

カテゴリー: お知らせ, 活動報告 | コメントは受け付けていません。

2013年度第7期早稲田環境塾研究会のお知らせ「危機を克服する思想と行動―環境日本学の観点から」

  東日本大震災により市民の環境意識は変化した。震災と原発事故がもたらした被害は、「食べ物、飲み物」「土、水、大気」「エネルギー」といったキーワードで、多くの市民が自らの生活様式や社会のあり方を考えるきっかけとなった。「気候変動」でも「生物多様性」でも「ESD」(持続可能な発展への教育)でもない。自分や子供たちの命に係わる身近な環境への意識の芽生えを、環境NGOはどのように受け止め、社会を変えていく推進力にしていくのか。環境NGOは思わぬ形で変化した、社会の意識に順応した対応が出来るかどうか、が問われている(「環境と文明」2013年4月号)。 早稲田大学早稲田環境学研究所・早稲田環境塾研究会は、この状況認識が的確であると判断します。最早シングル・イシューでは、世間の関心は惹けない、との指摘です。自然、環境保護団体は3・11以降、総じてこの新たな環境意識の変化に応じることに苦戦しています。いま、必要なことは、環境学習と実践へのテーマを大きく構えるのと同時に、問題認識、論点を明確にした内容を体系的に学ぶことです。第7期早稲田環境塾研究会の課題です(塾叢書『高畠学―農からの地域自治』 『京都環境学―宗教性とエコロジー』、 藤原書店刊を参照してください)。 早稲田環境学研究所が研究会を主宰します。 ▼▼  予定されている内容の概略を紹介します(講師名の一部は交渉予定者です)  ▼▼ 第1部は「環境問題から社会の変革を」。干ばつ、洪水など食料生産に莫大な被害をもたらしつつある温暖化の現状と近未来予測、原発に代わる合理的なエネルギーへの転換の枠組み、アメリカの主導によるTPP(環太平洋 連携協定)が、環境にもたらす影響など、急迫している構造的な大問題を環境の視点から課題とします。 第2部は原発風評被害にさらされる食と農の現場から、地域共同体と自治・自立の復活による「安全、安心な食・農の確立」を考え、東京と高畠で毎日新聞 社などと連携して具体的な実践行動にとりかかります。今回の高畠合宿は原発風評被害を克服する思想と行動に絞り、高畠共生塾と早稲田環境塾が連携して行います。 第3部「生物多様性と環境思想」。私たちの命に係わる課題でありながら、とらえにくく、さっぱり実感がわかない外来語「生物多様性」を、3・11と日本語にひきつけ、人の生死と哲学の思想から解き明かし、討論します。 第4部は文化としての環境日本学のありかを、東日本大震災の現場に即し、宮沢賢治と柳田國男のメッセージを手がかりに、多彩な地元の方々との交流を 介して読み解きます。 早稲田環境塾長 原  剛 …… 第1部 環境問題から社会の変革を(10月23日~11月13日) ①   経験したことのない猛暑、海の異変と地球温暖化―破断界現象と社会的合理性 西岡秀三(国立環境研究所特別客員研究員IPCC・気候変動に関する政府間パネル委員) (10月23日 ) ② 朝日新聞脱原発報道の試練―日本社会(朝日新聞読者)との戦い 原剛(早稲田環境塾長毎日新聞客員編集委員) (10月30日) ③ 原発事故から始める温暖化対策―課題の設定を誤らぬように 浅岡美恵(気候ネットワーク代表京都弁護士会元会長) (11月6日) ④ 貿易と環境―WTOからTPPへ国際分業は資源の最適利用か 神野直彦(東大名誉教授 地方財政審議会会長) (11月13日)   第2部 今、安全・安心な食とは何か(11月20日12月4日) ① 地域共同体の再発見―東日本大震災、大塚久雄 内山節の論を経て 千賀裕太郎(東京農工大教授) (11月20日) ② 有機無農薬稲作・生消提携の原点から―原発風評被害と青鬼クラブが目指すもの 原剛(早稲田環境塾塾長・毎日新聞客員編集委員) (11月27日)   … 続きを読む

カテゴリー: お知らせ, 活動報告, 講座内容 | コメントは受け付けていません。

2010年 講座紹介(第4期)

第1講座 近代化と日本文化の基層 【第1講義】環境日本学の目的 9月9日 高畠(農業)、水俣(工業)、京都(宗教)、東京(政治・行政)での半世紀に及ぶ環境破壊の体験、解決への努力の積み重ねから、文化としての「環境日本学」の枠組みをとらえる。 原剛(早稲田環境塾長) 【第2講義】仏教の環境概念は、問題の解決に有効か 9月16日 日本文化の基層としての仏教の環境概念は、今日の社会が直面している環境問題の解決に有効か、無効か 杉谷義純(大正大学理事長 寛永寺圓珠院住職) 【第3講義】京都合宿(比叡山延暦寺会館泊) 9月25・26日 神仏の概念(宗教)とエコロジー(科学)、そして近代環境法体系との関連を歴史のフィールドから探求する。 *賀茂御祖神(下鴨神社) 糺の森で 「神道と自然、環境保護思想」を課題に講義・討論・散策 嵯峨井建(禰宜 京都大学講師) *妙法院門跡(三十三間堂本坊)で「神仏習合の歴史・思想と自然・環境観」 菅原信海(門主 早稲田大学名誉教授) *建仁寺・庭園で 「禅宗の宇宙・自然・人間観と枯山水庭園に表現された禅の心」 小堀泰巌(管長) *京都学概論 京都の歴史と街の構造 祭祀の由来 暮らしの流儀などの解説 丸山弘子(早稲田環境塾講師) 第2講座 暮らしの現場から生物多様性を考える 【第1講義】「生物の多様性」とは何か 9月30日 政府間の国連環境開発会議(地球サミット)と市民フォーラムでのNGO活動の現場で考える。生物多様性保全条約会議(COP10 名古屋 10月開催)と対照して。リオデジャネイロ国連環境開発会議で採択された政府間条約とNGOによる市民協定に由来する「生物多様性」をめぐるGO VS NGOの対立と接近の歴史と現状。文化としての環境日本学はこの過程から何を学ぶか 原剛(早稲田環境塾長) 【第2講義】シマフクロウと人の心 10月7日 アイヌ民族の守り神・コタンコロカムイ、巨大なシマフクロウが棲む水辺の森を育てる。鮭が棲む川と森とオホーツク海のはざまで、なにが北辺の人々の心をつないだのか 舘定宣(虹別コロカムイの会会長 北海道標茶町) 【第3講義】「生きもの語り」が日本の農業を蘇生させる 10月14日 まず自分に言い聞かせよう。生物多様性が大切なのではない。生きものへのまなざしが大切なのだ。田んぼからの「生きもの語り」が日本の農業を変革する。 宇根豊(農と自然の研究所代表 福岡県二丈町) 【第4講義】釧路湿原からアジアへ 10月21日 釧路湿原のナチュラリストからアジアと世界の水辺へ、水鳥の傍へ。ラムサール条約がめざす、トリとヒトとの明日ある係わり方をとおして生物の多様性を考える。 中村玲子(ラムサールセンター長) 第3講座 環境とは何か 【第1講義】自然・人間・文化を分断するな 11月4日 環境とは何か、地域社会(山形県高畠町)の現場から考える。自然、人間、文化の三要素を分断することなく「環境」として把握することが日々の暮らしに背骨をとおす。 原剛(早稲田環境塾長) 【第2講義】現場で実践者に学ぶ(山形県高畠町合宿) 11月13・14日 有機無農薬稲作と生産者・消費者提携の原点、山形県高畠町和田の「ゆうきの里・さんさん」に合宿。現場から発信される多彩な環境情報を聴く。環境日本学の原点で。 … 続きを読む

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。

2010年 ~開講にむけて~ 塾長の言葉

2010年6月28日 早稲田環境塾 塾長、早稲田大学特命教授・名誉教授 原 剛 早稲田環境塾は日本の地域、地球の明日を思い、持続する社会発展をめざし、現状を変革するために「行動するキイパーソン」の養成を志す。 早稲田環境塾の講座は、実社会のさまざまな環境問題に対して、大学、企業、自治体、NGO、ジャーナリズムの5セクターから参加している塾生が、知慧の交 流を図りながら具体的な問題解決策を設計、提案、実践していく、アジア太平洋研究センター独自の「トライアングル・メソッド」の視点で開講している。 早稲田環境塾は環境破壊と再生の、この半世紀の日本産業社会の体験に基づき、「過去の“進歩”を導いた諸理念をも超える革新的再興」を期し、日本文化の伝 統を礎に、近代化との整合をはかり、社会の持続可能な発展をめざす「環境日本学」( Environmental Japanology)の創成を志す。 この概念をもって、真の公害先進国としての体験、力量を有する日本人及び日本社会の自己確認(identity)を試み、日本の経験と成果を世界に発信するとともに、持続可能な国際社会への貢献を目指す。 早稲田環境塾はその目的を遂げるために次の手段を用い、それら相互間の実践的触媒となることを目指す。 ① 環境問題に現場で取り組み、成果を挙げるために市民、企業、自治体、大学との協働の場を設定 ② その過程、成果を広く世間に伝え、国民・市民意識を改革するメディアの擁護(advocacy)、課題設定(agenda setting)及びキャンペーン報道(campaign)への協働 ③ アカデミアによる1 , 2の体系化、理論の場の創造 早稲田環境塾は、「環境」を自然、人間、文化の三要素の統合体として認識し、環境と調和した社会発展の原型を地域社会から探求する。 あごをひいて、暮らしの足元を直視し、現場を踏み、実践に学ぶ。地域社会は住民、自治体、企業から成る。地域からの協働により、気候変動枠組み条約をはじめ、さ迷える国際環境レジームに実践の魂を入れよう。 この目的のために、早稲田環境塾は早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター、W-BRIDGE、日本環境ジャーナリストの会、全国水源の里連絡協議会、 森林塾青水、JR 東日本、電源開発(Jパワー)、佐川急便、ライオンなど企業と協働する。同志の参加を早稲田大学に限らず、各界に広く求める。 塾の成果報告書を刊行、英文と中国語に訳し、アジアを主に世界の環境キイパーソン、組織に発信する。 日程など 期間:2010年5月20日~7月22日・9月9日~12月9日 場所:早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター 309号室 日時:木曜日 午後6時30分~8時30分の間講義・対談・討論

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。

2010年 講座紹介(第3期)

日程など 期間:2010年5月20日~7月22日・9月9日~12月9日 場所:早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター 309号室 日時:木曜日 午後6時30分~8時30分の間講義・対談・討論 第3期 課題「中国の環境問題と日本の安全保障・日中環境協力のあり方」 期間:2010年5月20日~7月22日 場所:早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター 309号室 日時:木曜日 午後6時30分~8時30分の間講義・対談・討論 受講料:社会人3万円・学生1万円(テキスト代を含む) (第1・2期生2万円・学生5千円) 第1講座 社会不安と化した産業・都市型公害の構造と対策を現場から一次情報でとらえる 【第1講】60年に及ぶ新中国の建国史と経済国際化の狭間で中国の環境に何が起きているか 早稲田大学・北京大学環境共同大学院の試みが意味するもの。早稲田環境塾の中国側パートナー、北京の大学教授たちによる中国初の環境NGOシンク タンク「北京三生 環境と発展研究所」(BEISING SANSHENG)の主張と日本への協働の呼びかけ。(遼寧省・盤錦市の遼河河口から) 原剛(早稲田環境塾塾長・早稲田大学特命・名誉教授) 【第2講】 中国社会の矛盾を配慮し、日本の対中環境スタンスをどこに定めるか 「愛国経済」-中国の全球化が中国の国内、東北アジア地域、地球環境にもたらす影響。一衣帯水の日本の対中国環境戦略をどう組み上げるか、中国全土の取材現場から考える。 吉岡桂子(朝日新聞経済部記者、前北京特派員) 【第3講】汚染食品輸出の原点、農産物の生産・加工現場を見る 社会的共通資本(自然生態系、制度、インフラ)欠如との関連で。他方では大都市の市場ニーズによる環境保全型農業、カルフールにみられる緑色流通の台頭が著しい。(江蘇省常熟市、遼寧省盤錦市、北京市留民営) 原剛(早稲田環境塾塾長・早稲田大学特命・名誉教授) 【第4講】最悪の水事情と日中協力の可能性・問題点 賦存量は世界平均の4 分の1。水最貧国である中国では、汚染排出費徴収制度の失敗から水汚染が激しく、経済発展を阻害しつつある。すでに荏原製作所など日本の水処理企業が進出して久しいが、加えて東京、大阪水道局による自治体参加が始動している。 (水処理メーカー中国担当役員) 第2講座 日中環境協力の新たな方向 【第5講】渡り鳥協定に始まる日中環境協力の歴史と現状 北九州市の大連市経済解放特別区への環境協力から明らかになった、中国の社会構造と国民意識の問題点。厳しい目がそそがれる日本企業の中国社会への貢献(CSR)を、キャノン大連工場に見る。(大連市経済特区) 原剛(早稲田環境塾塾長・早稲田大学特命・名誉教授) 【第6講】中国の環境政策に学ぶ― 個別の技術移転からシステムの輸出へ河北省唐山市(人口800万人)でスウェーデン政府、企業の協力を得て、汚染された重工業地区に自然 エネルギー、緑地、公共交通を導入して低炭素化、生物多様性の豊かな循環型の街を作る試みが進行中である。様々な技術と手法を街区にまとめて「見える化」 し、技術は「システム化」して移転。環境目的を達しながら環境ビジネス市場の拡大を狙う。日本に欠けている対中環境協力の手法を学ぶ。関連して10月に日 本環境ジャーナリストの会と協働して現地調査を行う。 水口哲(博報堂ディレクター) 【第7講】地球温暖化政策を主眼とし、中国を対象としたCDM(clean development mechanism)の現状と展開方向 中国政府のCDM政策の実態と鉄、電力の省エネルギー技術の対中移転と日本のCO2 排出枠の獲得。 水野勇史(環境省地球環境戦略機関(IGES)市場メカニズムプロジェクトマネージャー慶応大学大学院政策・メディア研究科特別研究教授) … 続きを読む

カテゴリー: 活動報告 | コメントは受け付けていません。