農業と環境を考える

第3回入会地を地域の活力源にできないか~茅場で40年ぶり野焼き 群馬・藤原の試み

毎日新聞朝刊 全国版 2009年9月12日


紅葉たけなわの10月24日、25日、首都圏の水源地群馬県みなかみ町藤原にある入会地の茅(かや)の原で日本、中国、韓国の環境活動家とジャーナリストが参加して、人間の暮らしの場で人と生きものの共生のあり方を住民と共に考える集いが開かれる。

日本環境ジャーナリストの会が主催し、森林塾「青水」と早稲田環境塾が協働する。

藤原は標高1100メートル、谷川岳、武尊山が迫る人口約500人の山村である。農林業はとうに衰弱し、スキー場と民宿、温泉宿を細々と営んでいる。小学校の新1年生ゼロの年が続いている。

国際交流が行われる入会地(21ヘクタール)は、200ヘクタールのゴルフ場が手を出せず、誰からも見捨てられた武尊山麓の急傾斜地にある。そこに自生する茅は、かつて集落の人々が屋根ふきやかいばに共同利用していた。

「飲食思源」を合言葉に、水源地の水神社を訪ね歩いていた東京の山好きたちが、2002年藤原を訪ね、そのたたずまいに魅了される。

森林塾「青水」を結成し、ススキ草原(茅場)や古道(フットパス)など地域の自然・文化遺産の再生と活力に尽力、 主催する「コモンズむら ふじわら」塾には小、中高校生、大学生、都市民が途切れることなく参加し、地元の人々とともに共同作業に汗を流し民宿、温泉宿をうるおしている。入会地に 天を焦がす野焼きの火が40年ぶりに復活した。

詳細な動・植物の生息調査と神仏由来の文化遺産地図も完成、古民家の修復に取り掛かっている。

10月24日に青水の塾生と集落が総出で茅刈りが行われる。茅は宮大工がすべて買い取り、県内の神社、仏閣の茅ぶき屋根に用いられる。

工業の効率に押され中国、韓国でも農村とりわけ山間地の集落が消滅しつつある。市場の自由化の徹底はそのダメ押しとなりかねない。

国の政策とあわせ、都市民の協働を得て地域の埋もれた資源に光をあて、入会地を現代に復活させ地域の活力源にできないか。国際交流の共通のテーマである。

原 剛 (早大特命教授、早稲田環境塾塾長)
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