「高畠学」-農からの地域自治

「高畠学」-農からの地域自治 早稲田環境塾第1叢書

日本で初の大規模な無農薬有機農法と生産者・消費者提携のキーパーソン、星寛治を中心に既成の農業観を根本的に問い直し、真に共生を実現する農の形を創造してきた山形県高畠町の農民グループ。

「地域づくり」と「持続可能な社会」とを結ぶ基盤とは何か、現地の当事者と、そこを訪れた「早稲田環境塾」塾生レポートから、その実践の根底にある「思想」、その「現場」、そしてその「可能性」を描く。(藤原書店刊2500円)

点から面に拡がり、「たかはた食との農の町づくり条例」の制定(2008年)に到る展開を遂げてきた有機無(減)農薬農法により復活し、生み出された自然生態系(自然環境)、人間の営み(人間環境)、が生命に満ちた「新しい自然景観の形成」(新しい文化の創造)に到ったといえよう。

早稲田環境塾が高畠町の、とりわけ和田地区に「日本文化としての環境」の原型(prototype)を認識するゆえんである。

高畠はあまねく「日本」の地域社会たりうるし、逆もまた真なり、といえるのではないだろうか。自然環境、社会的インフラストラクチャアー、制度資本から成る社会的共通資本が、最高の水準で整っている日本ならではの可能性である。ミクロからマクロを構想する手掛りと言えよう。

1974年、朝日新聞朝刊に連載され、農薬による環境汚染を告発した有吉佐和子の「複合汚染」、ジブリ高畑勲監督のアニメ映画「おもひでぽろぽろ」、NHKのドキュメンタリー「まだ見ぬ妻たちへ」はこの現場から作られた。

「環境を、きれいだとか、有機物質が食べ物に入っていないとか、そういう単なる外的な要因でとらえるのではなく、『人間と文化』という観点を加え、長い目で見て、どういう生活環境が人の心を幸せにするかという研究の観点は、強烈に胸をうつ」東郷和彦(『戦後日本が失ったもの』角川書店)

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