2013年度第7期早稲田環境塾研究会のお知らせ「危機を克服する思想と行動―環境日本学の観点から」

 

東日本大震災により市民の環境意識は変化した。震災と原発事故がもたらした被害は、「食べ物、飲み物」「土、水、大気」「エネルギー」といったキーワードで、多くの市民が自らの生活様式や社会のあり方を考えるきっかけとなった。「気候変動」でも「生物多様性」でも「ESD」(持続可能な発展への教育)でもない。自分や子供たちの命に係わる身近な環境への意識の芽生えを、環境NGOはどのように受け止め、社会を変えていく推進力にしていくのか。環境NGOは思わぬ形で変化した、社会の意識に順応した対応が出来るかどうか、が問われている(「環境と文明」2013年4月号)。

早稲田大学早稲田環境学研究所・早稲田環境塾研究会は、この状況認識が的確であると判断します。最早シングル・イシューでは、世間の関心は惹けない、との指摘です。自然、環境保護団体は3・11以降、総じてこの新たな環境意識の変化に応じることに苦戦しています。いま、必要なことは、環境学習と実践へのテーマを大きく構えるのと同時に、問題認識、論点を明確にした内容を体系的に学ぶことです。第7期早稲田環境塾研究会の課題です(塾叢書『高畠学―農からの地域自治』 『京都環境学―宗教性とエコロジー』、 藤原書店刊を参照してください)。

早稲田環境学研究所が研究会を主宰します。

▼▼  予定されている内容の概略を紹介します(講師名の一部は交渉予定者です)  ▼▼

第1部は「環境問題から社会の変革を」。干ばつ、洪水など食料生産に莫大な被害をもたらしつつある温暖化の現状と近未来予測、原発に代わる合理的なエネルギーへの転換の枠組み、アメリカの主導によるTPP(環太平洋 連携協定)が、環境にもたらす影響など、急迫している構造的な大問題を環境の視点から課題とします。

第2部は原発風評被害にさらされる食と農の現場から、地域共同体と自治・自立の復活による「安全、安心な食・農の確立」を考え、東京と高畠で毎日新聞 社などと連携して具体的な実践行動にとりかかります。今回の高畠合宿は原発風評被害を克服する思想と行動に絞り、高畠共生塾と早稲田環境塾が連携して行います。

第3部「生物多様性と環境思想」。私たちの命に係わる課題でありながら、とらえにくく、さっぱり実感がわかない外来語「生物多様性」を、3・11と日本語にひきつけ、人の生死と哲学の思想から解き明かし、討論します。

第4部は文化としての環境日本学のありかを、東日本大震災の現場に即し、宮沢賢治と柳田國男のメッセージを手がかりに、多彩な地元の方々との交流を 介して読み解きます。

早稲田環境塾長 原  剛

……

第1部 環境問題から社会の変革を(10月23日~11月13日)

①   経験したことのない猛暑、海の異変と地球温暖化―破断界現象と社会的合理性

西岡秀三(国立環境研究所特別客員研究員IPCC・気候変動に関する政府間パネル委員)

(10月23日 )

② 朝日新聞脱原発報道の試練―日本社会(朝日新聞読者)との戦い

原剛(早稲田環境塾長毎日新聞客員編集委員)

(10月30日)

③ 原発事故から始める温暖化対策―課題の設定を誤らぬように

浅岡美恵(気候ネットワーク代表京都弁護士会元会長)

(11月6日)

④ 貿易と環境―WTOからTPPへ国際分業は資源の最適利用か

神野直彦(東大名誉教授 地方財政審議会会長)

(11月13日)

 

第2部 今、安全・安心な食とは何か(11月20日12月4日)

① 地域共同体の再発見―東日本大震災、大塚久雄 内山節の論を経て

千賀裕太郎(東京農工大教授)

(11月20日)

② 有機無農薬稲作・生消提携の原点から―原発風評被害と青鬼クラブが目指すもの

原剛(早稲田環境塾塾長・毎日新聞客員編集委員)

(11月27日)

 

高畠合宿(12月7日、8日)

1973年高畠町有機農業研究会(星寛治会長)に集う20代の稲作農民39人が、苦難の試行錯誤を重ね、技術、経済面で有機無農薬農法の生産者・消費者提携の成功モデルとなった高畠を訪ねる。

1974年、朝日新聞朝刊に連載され、農薬による環境汚染を告発した有吉佐和子の「複合汚染」、ジブリ高畑勲監督のアニメ映画「おもひでぽろぽろ」、NHKのドキュメンタリー「まだ見ぬ妻たちへ」は、この現場から作られた。39年に及ぶ生産者、消費者提携が今、原発の風評被害によって損なわれている。

合宿参加者には塾叢書『高畠学―農からの地域自治』(藤原書店)、原剛著『環境が農を鍛える―なぜ農業と環境政策か』(早大出版部)、をテキストとして進呈。

① 基調講演 土地に根差す学びの水脈―北極から新潟へ

高野孝子(早稲田大学教授ECOPLUS 代表)

②「高畠の犬宮と猫の宮」-仏教の生物観 岡田真美子兵庫県立大教授

③ 高畠共生塾の理想と現実―原発風評被害との遭遇

星寛治(農民詩人・高畠共生塾前塾長)

④ 食と農の危機を克服するために―風評被害に直面して

渡部務 美佐子対談(置賜農協理事)

⑤ かけがえのない価値としての風土と文化―まほろばの里でイザベラ・バードが視たもの

遠藤周次(たかはた共生プロジェクト事務局長)

 

第3部  生物多様性と環境思想(1月15日~2月12日)

①  GO-NGO、南北対立に始まる生物多様性の歴史と現状―非貨幣価値とは何か

原剛(早稲田環境塾塾長・毎日新聞客員集委員)

(1月8日)

② 生命の根源としての自然観―sense of  wonderの感性の蘇りを

上遠恵子(レイチェル・カーソン日本協会会長)

(1月15日)

③ 生物多様性の経済的側面―ポツダム会議からCOP11まで

講師未定

(1月22日)

④ サクラソウ遺伝子から樹林葬まで―生と死の論理

鷲谷いずみ(東大大学院農学生命科学研究科教授)

(1月29日)

⑤ 未定

(2月5日)

 

第4部 3・11 宮沢賢治・柳田國男の世界(2月19日~26日)

3・11と原発事故の後、日本人とは何か、アイデンティティ確認への意識が高まっている。様々なメディアに宮沢賢治と柳田國男関連の事柄が報道され続けているのはなぜか。作品創造の現場から考察する。合宿参加者には塾叢書『京都環境学―宗教性とエコロジー』(藤原書店)をテキストとして贈呈。

① なぜ、今、宮沢賢治か―3・11以降の新聞報道からの分析

原剛(早稲田環境塾塾長・毎日新聞客員編集員)

(2月19日)

② 銀河鉄道と遠野物語からのメッセージ

講師未定

(2月26日)

 

花巻・遠野合宿

花巻・遠野で創作、調査の現場を訪ね、それぞれ語り部・郷土史家・ジャーナリスから話を聞く。

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◇期 間 : 2013年10月23日~2014年2月26日の水曜日

午後6時30分~8時10分

(1~4部門間に間隔を取り、毎 週開催とならないように配慮します)
◇場  所 : 早稲田大学本 部キャンパス(西早稲田)19号館309号室(1~5期と同じ教室)


◇費 用 : テキスト・レジュメ代として 1~4部を通して

社会人(初参加) 3万円 (塾生 1万5000円)

学生 5000円

 

※上記は早稲田 大学キャンパスでの講義テキスト、通信費用になります。

高畠、花巻・遠野・田野畑合宿は、別途費用をご負担いただくことになります。

※初参加者の方には、塾叢書『高畠学』『京都環境学』(藤 原書店刊)をテキストとして進呈しま す。

◇お問い合わせ・入会申込先

以下、 ①~⑤の必要事項をご記入の上、表題を「早稲田環境塾研究会第7期申し込み」として、FaxまたはEmail にてお申込み下さい。

①お名前

②ご住所

③ご連絡先(電話番号、メー ルアドレス)

④受講理由

過去環境塾への参加 有無

Fax        03-5286-9718

Email     wasedakankyojyuku@gmail.com

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